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世界の高みに向かって、全力で走り続ける町工場【有限会社精工パッキング】

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飾区の老舗町工場が、今、世界を見据える理由

――今、お話に出てきた2017年につくったという経営理念について、もう少しくわしくお話を聞かせていただけますか?

1. 世界の高みに向かって、全力で走り続ける町工場
2. 夢やアイデアを形にし、地域社会と共に発展する町工場
3. 援け合い成長していく、社員のパワーがみなぎる町工場

このような経営理念を掲げています。

「世界」という言葉には、オリンピックへの思いがあるんです。実は、僕は3歳から水泳をやっていまして。小学生の頃には天才といわれたりして大きな大会にも出ていたんですよ。結構本格的に「目指せ、オリンピック」という気持ちで泳いでいて、通っているスイミングスクールにオリンピック金メダル選手のマット・ビオンディが来て見せてくれた泳ぎには感動しましたね。もう少し手をのばせば、自分もオリンピックに行ける。そんな思いを燃やしていた時代があったんです。

しかし、厳しい世界です。高校生にもなると、自分の限界が見えてきます。それでも水泳を続けていて。夜間大学に行き始めると、先ほど話した会社の仕事もやらなければならない。それでも日曜日だけスイミングスクールに通って泳ぎ続けていました。なんとなく、自分で自分の引退を認めたくなくて続けていたのかもしれません。30歳過ぎまで続けていたんですね。ところが、このスイミングスクールが改築することになって、旧施設の最後の日の練習を終えた後、これまでのことがいろいろ思い出されてきて。「新しい施設になったら、もうここに通う必要ってないな」と感じて、「もう終わりにしよう」と踏ん切りがつきました。そうしたら今度は別の思いが湧いてきたんですね。「仕事でオリンピックに貢献するという方法もあるんじゃないか」って。

後に、会社を継ぐことになって、経営理念を作ることになったとき、「自分は何のために仕事をしているんだろう?」と考えたとき、自分の心の奥底にあったのがこの思いです。世界最高峰のスポーツの祭典で使われるものづくり。相当高いレベルのことをやっていかなければならないと身が引き締まるとともに、わくわくする高い目標だと感じています。
 

――聞いているこちらまでわくわくするお話です。そんな平井社長は、今後、精工パッキングのどんな展開を構想されていますか

売上は上げていきたいですね。目指しているのは、10年後に年商2億円くらいでしょうか。ものづくりという面では3Dプリンタが出てきたじゃないですか。今後、3Dプリンタで作れるものはどんどん増えていくと思います。しかし、時間と価格で比較するとビク抜きのほうが圧倒的に安くて早い。量産になったときの強みはあると思います。ただ、今まで通りのことをやっていてはジリ貧ですから、新しいことを開拓しなければなりません。

極細輪ゴム、ポレットを作って、それなりの成果を出すことができました。極細輪ゴムは医療分野での応用が現在検討されています。

また、パラリンピックのパラアイスホッケー選手から相談を受けているものもありまして。氷の上じゃない体育館で練習する際に滑らないステッキを作れないかというものです。グリップはきく、でもちょっと滑る。素材を活かしてそんな道具は作れないかと。こんな風にオリンピックに関わる仕事も少しずつ増えてきました。

夢は、社員全員をオリンピック会場に連れて行って、自分たちが手がけた製品がオリンピックで使われている様子を見せることです。ものづくりの醍醐味というか、自分たちの仕事に誇りを感じてほしいんですよね。そんな夢が叶った時、僕たちはより強い組織になれている気がします。その道はまだまだ始まったばかりですけどね。
 

有限会社精工パッキング
代表: 代表取締役社長  平井 秀明
設立: 1971年
所在地: 東京都葛飾区高砂3-28-18 
URL: https://www.seikopacking.tokyo/