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経営者ストーリー

すべてが新しいモノづくりのために【株式会社フルハートジャパン】

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株式会社フルハートジャパン 代表取締役 國廣 愛彦 氏のインタビュー

エレクトロニクスを基盤としたコンピュータ応用技術・制御技術を核に、各種自動化・省力化システムの研究・開発から設計・検査までを手掛けているフルハートジャパン。現在、町工場の力の底上げや技術の結集といった新たな取り組みを進めている代表の國廣愛彦氏は、実は当初お父様が創業した会社を継ぐ気はなかったとのこと。大手アパレルメーカーに就職していた國廣氏は、何を考えて転身を決意し、何を大切にしてフルハートジャパンを牽引しているのか。お話しいただきました。

フルハートジャパンが手がけるモノづくり

――はじめに、フルハートジャパンについて教えてください

フルハートジャパンは、エレクトロニクスを基盤としたコンピュータ応用技術・制御技術を核に、各種自動化・省力化システムの研究・開発から設計・検査を、一貫生産体制で行なっている会社です。でも、このように伝えると分かりにくいかもしれませんね(笑)。

小学生のころ、授業で工場見学に行きませんでしたか。ベルトコンベアに商品が乗っていて、すべて自動で加工されていく。そういった自動化・省力化のために使われる装置の開発・製造をしている会社です。

いろいろな分野の装置を手掛けています。分野としては、食品、医療、建設、原子力、航空など。自社製品としては、スープの保温・抽出、薬品の監視・保管、古い文庫本・マンガなどの縁の研磨など。取引社数は、年間100社以上。開発・製造している装置は毎週違っているというほど、多彩な装置を手掛けています。

このような事業内容であり、なんでもできるがゆえに、何が得意分野なのか伝えるのが難しく、知名度を上げることに長年苦労していました。転機になったのは『下町ボブスレー』ですね。これは、大田区の町工場が協力して冬季オリンピックで使われるボブスレーのソリを作ろうというプロジェクトなのですが、弊社は金属の板やパイプを切断、曲げ、溶接などを施す板金加工を担当し、さまざまなメディアに取り上げられることが増えました。

――「なんでもできる」というお話でしたが、國廣社長から見て、あえてフルハートジャパンの強みを挙げるとすると、どんなところでしょうか

強みというか、仕事をする上で大切にしているのは、「顧客の信頼に最大限応える」ということですね。「こんなところに困っている」と相談を受けたら、設計図がなくても、課題を解決できる装置を考案し、図面にするところから始めることもあります。やりたいことは明確だけど、図面のイメージができていない。私たちはそういう依頼を「ゼロからの依頼」と呼んでいるのですが、この段階から仕事を受けることは弊社の強みだと思います。

福島で原発事故が起きてしまった後、ガレキ除去に使うショベルカーを遠隔操作できないかと相談を受けたことがあります。これは、専用装置を開発することで実現することができました。

受注生産の場合、顧客より図面をもらい、それに従って生産するスタイルが一般的です。でも、そうなると、できるだけ安く作ることが求められます。私たちは、「ゼロからの依頼」にも対応し、自らの提案によってお客様に対するソリューションを提供することで、「少し高くても仕事を頼みたい会社」というポジションを確立。他社との差別化と同時に、売上を確保しています。

あと、弊社の特徴の1つとして、「思いやりのある社員ばかり」ということも挙げられますね。お客様のことを第一に考え、お客様の希望をいかにして実現させるかを考え、実現のために労を惜しまない。このようなお客様を思いやる気持ちが、フルハートジャパンイズムとして社員みんなに浸透している点は、私たちの強さと言えるかもしれません。

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