家族である社員と共に新しい可能性に挑戦し続ける【株式会社アイコーシステム】
株式会社アイコーシステム 代表取締役 片野 雅史 氏のインタビュー
―はじめに、株式会社アイコーシステムがどのような会社か教えてください
株式会社アイコーシステムは、主に自動組立装置や検査装置、制御装置の製造を行っている会社です。創業は昭和56年で、元々は制御盤などの電気制御機器の開発を主にしていましたが、平成元年に創業者の想いからメカトロニクスの分野に進出。現在では自動車、スマートホン、クレジットカード関連など幅広い分野で検査機や制御装置の製造を行っています。
弊社が手がけるのは大量生産する量産機ではなくテストモデル。お客様からの提案に基づいて装置や機器を具現化するのが弊社の特徴です。常に可能性に挑戦し、世の中にまだない「全く新しいもの」をオーダーメイドでつくりだせることが弊社の最大の強みであり、機械・制御装置の設計、加工からソフトウェア開発まで一貫して提供する体制を整えています。
―創業者から事業承継した経緯と、承継後に苦労したことを教えてください
メーカー勤務を経て独立して働いていた私が、仕事上でお付き合いのあったアイコーシステム創業者の先代社長に誘われて入社したのが25年程前のこと。中小零細ではありながら地道に仕事をこなしてはいたのですが、バブル崩壊の影響で仕事が減り会社が厳しい状況に追い込まれた時期がありました。そんな中、創業者が病に倒れてしまったんです。
創業者が倒れた当時、役員を務めていた私は会社を畳むことを真剣に考えたこともありました。しかし、仕事を依頼してくれるお客様との関係や社員たちの生活のためにも私が会社を守られなければならないと会社を継ぐことを決意したんです。引き継いだ当初は資金繰りや財務面などで相当苦労したこともありました。
また、社員に安心して働いてもらうための体制も十分ではなかったので、福利厚生や社内環境の整備には力を入れて取り組みましたね。社員たちへのヒアリングや周りの会社を参考にし、自社に足りない部分を改善していったんです。その甲斐もあって、厳しい状況ながらも社員一丸となって「頑張ろう!」という想いで会社を立て直していくことができました。
―経営理念や仕事の上で大切にしている想いを教えてください
経営理念として明文化しているわけではありませんが、「社員は家族」という想いを大切にしています。心がけているのは、社員を道具として扱うのではなく、会社が社員のための道具であり社員を全て優先して会社として運営すること。おかげで、会社の実績も伸ばしてこられたので間違っていなかったのかなと思っています。
会社としての在り方を考える時、まちだテクノパーク内の周りの企業の方々と交流を持てたことが助けになりました。特に東日本震災後はお互いに仲良くなり、経営者レベルでの話ができる存在が身近にできたことは有り難かったですね。また、数年前から業務・資本で提携を結んでいる株式会社いわき精機さんにも、経営の考え方では影響を受けています。
いわき精機さんは本当に社員を大切にされている会社で、経営者としてその姿勢を学ばせてもらいました。いわき精機さんとはお互いが厳しい状況の時に助け合ってきており、企業規模に関わらず上下関係もなくお互いの良いところ悪いところを言い合って切磋琢磨できる関係性を構築しています。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください
事業規模を大きくしたいとは思っていないのですが、若い人材は増やしていきたいと思っています。求人サイトの活用も始めており、今後はテレワークなども導入して「遠くて来られない」人材にも来てもらえるようにしていきたいですね。弊社は「世の中にまだないモノ」を創れる会社なので、モノづくりに興味がある人にとって達成感はひとしおだと思います。
また、後継者の育成が現在の課題です。5年後を目処に社内の人間に事業を承継したいと考えています。経営者の最も重要な仕事は、経理や財務といった専門的なことよりも、経営上の判断をすること。「急にやれ」と言われても難しいと思うので、数年かけて経営上の判断が下せる後継者を育成していく計画を立てています。
事業の方向性としては、まだ誰もやったことがない製品をつくり出すことを目指していますが、社会に何が必要とされているかの視点が大切だと思っています。モノづくり企業である以上、メーカーになることが一つの夢。自分の代では難しいかもしれませんが、アイコーシステムを託す次世代には実現してほしいと期待しています。
株式会社アイコーシステム 代表取締役:片野 雅史 設立:昭和57年(1982年)1月18日 所在地:〒194-0215 東京都町田市小山ヶ丘二丁目 2 番地 5-3 (まちだテクノパーク内) URL:http://www.aiko-sys.co.jp/ |