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経営者ストーリー

再現するのではなく、表現すること
【株式会社アクティブデザイン】

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予期せぬ事態からの事業承継を経験して

――寺島様から﨑山様はどのようなカタチで事業承継されたのですか

突然でした。2016年2月、先代の寺島が亡くなりました。2015年も師走に入りお客様との忘年会の席でビールを一杯飲んだ時に違和感があったようで、次の日の朝、「なんか昨日ビールの味がおかしく感じたんだよね。」と言って、ちょっと具合が悪いから病院へ行ってくると…その2ヵ月後に亡くなってしまいました。誰も予想していない、おそらく本人もそんな気はまったくなかったと思います。本当に突然のことでした。

先代の寺島社長

当初、私が会社を継ぐことになるとは思ってもいませんでした。すでに家庭があり、子どもも2人いましたので、仕事を一番にして全力で向かう事が出来なかった為、役員などの重要なポジションからも外して頂いていました。でも、裏方の業務や経理等をしていましたので会社の数字や内情は全部把握していました。幹部社員を集めて会社の財務状況もすべてお話しして、「誰が会社を継ぐのか」話し合いをしたんです。

しかし、誰も名乗りを上げる方はいませんでした。でも、誰かが代表を引き継いでもらわなくては、会社をたたむ事になってしまいます。当時ちょうど大きな仕事を受注した後でしたので、絶対にそれを放り出すわけには行きませんでした。一番社歴が長く、創業メンバーであった私が、ここで何もせずに諦めてしまって良いのか、今日まで苦労を共にし、ついて来てくれた社員を私の一言で露頭迷わせるような事をしたら絶対に後で一生後悔する事になるのではないか。そう考えたとき、「私がやるしかない。とにかくやれるところまでやってみよう。それでダメだったらきっと後悔はしない。」と決意しました。

社長を務める自信なんて全くありませんでした。先代の事を近くで見ていましたがいざ自分が出来るかと言ったら全く別物でした。私の決断に対して良く社員がついて来てくれたと思います。誰もついてきてくれなかったら、それまでだと思っていましたから。その期待に応えるためにも、私のできる事はすべてやろうという思いでの事業承継でしたね。これが2016年2月のことです。
 

――大変だったようですね。そのようなカタチで事業承継されてみて、いかがだったでしょうか

生前、先代がよく言っていました。「社長は孤独だ」と。その立場になって初めてその言葉の意味が分かったのです。逆を言えばその立場にならないと分からないのです。

会社のためには言いにくい事ことも、逃げずに発言しなければなりません。そして、社長の言葉って重みがあるんですよね。今までだったら軽口で言えた事も、社長からの言葉だと重みがあります。ですから、発言には常に細心の注意を払い、気を使わなければなりません。

そして、様々なことを決めなければなりません。決めた事に対して最終的に何があろうと先頭に立って責任を負うのが社長の役目なのです。正解が何かなんて分かりません。それでも日々悩みながら意思決定していかなければならない。自分と同じ土俵で同じ意識で感じ、悩み、考えてくれる人は中々すぐには現れません。最終的には一人で考え責任をもって決める、それって孤独な業務です。それがこの立場になって身に染みて分かりました。

先代には少なくても私という志が同じ何でも言い合えるメンバーがいました。でも、私にはまだ、そういう人がいないのです。だからというわけではありませんが、志を同じくし、会社運営に自ら携わってくれる様な幹部社員を育てる事は課題の1つですね。
 

――先代の寺島さんと出会ったキッカケは、どのようなものだったのですか

私、学生時代は引っ込み思案で人の前に立つのが苦手だったんです。なので人前に出るような仕事は選ぶつもりはありませんでした。父は会社を経営していましたが、娘に継がせたいとは思っていなかったようで、ただ「女性でも手に職をつけておいた方が良い」という考えは持っていました。

そうは言って具体的にこれと言ってやりたいものはありませんでした。ただ手先は器用な方で細かな作業は好きでした。そんな私を見て父は、父の友人で建築パースの会社を経営されている方がいらして、パース制作は細かな作業のため、私に向いているのではないかと思ったらしく、作業場を見せていただく事になり、それが建築パースとの出会いでした。

そこで見た作品に衝撃を受けまして、「人の手でこんな物が描けるの!私も描けるようになりたい」と思ったのです。あまり人前に出ることなく、手に職をつけられ、興味のある仕事との出会いでした。そして、その会社に入社し、先輩として働く先代と出会うことになります。
 

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